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バイオリン製作学校時代の思い出

作業風景
今回の記事では僕自身がバイオリン製作の道に進むきっかけとバイオリン製作学校時代のことについてお話します。

2015年9月、東京都世田谷区池尻にある音楽専門学校『国立音楽院』に入学しました。そこで学んだ木工の基礎、道具の仕立て、バイオリン製作の基本が今の仕事につながっています。

まずは職人を目指したきっかけから、国立音楽院で学んだこと、職人としての考え方に少し触れていきます。

ちなみに国立国立といっているとよく間違えられますが、久石譲さんや広瀬香美さん、秋川雅史さんなどの著名な音楽家を輩出している名門”国立音大”とは別の学校ですので、、

目次

職人を目指したきっかけ

職人イメージ

2014年、当時食品メーカーで開発の仕事をしていた僕は毎日パソコンと向かい合ってデータの処理や書類を作成する毎日に退屈さを感じていました。
商品を開発する仕事自体に面白さは感じていましたが、しかし大量生産であるがゆえに作られた商品を見ることも少なく、どんな商品がどんなお客様に売られていくのか、僕はデーター上でしか知りませんでした。
もっとお客さんと直接話して商品を紹介して商売がしたい。商品も自分で作りたいと思うようになりました。やっぱり誰かのために仕事をするというのが人生の醍醐味であるように自分は思っていたんですね。
昔から図工が得意だった僕は木工職人に憧れを持ち始めました。この頃はちょうど職人にスポットあてたTV番組などが多く放送されていた時期だと思いますのでその影響も少なからずあると思います。

国立音楽院を訪ねて

国立音楽院

楽器を弾くのが好きで、ブルースハープやギター、ドラムなどいろんな楽器をやってきました。それもあって楽器職人はどうだろうかと思い立ち、国立音楽院を訪ねました。
国立音楽院にはバイオリン製作科とギタークラフト科があり、僕が最初に目を付けたのはギターでした。中を見学しているとルーターという機械を使ってボディーにピックアップが収まる部分の溝を掘っていたんです。それを見たときイメージしていた古臭い木工職人の手仕事のそれとは違う。自分が目指しているのとは違うと感じました。
その時ちょうどとなりにバイオリン製作科があり、ノミを片手に表板を削っていたのを見てこれだ!と思ったんです。すごく単純ですが、それがバイオリン製作科に入ったきっかけとなりました😅

バイオリン製作科で学んだこと

ノミ

まずは木工の基礎”道具の仕立て”です。バイオリン製作に使う道具はとても多く、その一つ一つが正しく仕立てられていなければなりません。
道具は主にブロックプレーン(西洋カンナ)、豆カンナ、ナイフ、平ノミ、丸ノミ、やすり、ストレートエッジ、ノギス、卦引き、スコヤ、定規、メジャー、ハンマー、のこぎりなどそれぞれに細かい大きさや形状の違いもあり、数えればきりがありません。
国立音楽院ではカンナの台の平面だしやノミの研ぎ方など、一つ一つ丁寧に教えていただきバイオリン製作に限らず木工をするうえでとても大事なことを教わりました。
木の加工に関しては繊維方向や木目の選び方など今では当然のようにわかっていることが当時は新鮮で楽しかったのを覚えています😊

バイオリン製作科でしてきたこと

内型

裏板削りだし

国立音楽院の学費は他の専門学校に比べてリーズナブルであるように感じます。初めに道具を買いそろえるためある程度の初期投資はありますが、すべての道具をひとまとめに購入できるのはおおきな魅力だと思います。
また当時はわかりませんでしたが講師の方々は皆さんとても技術のある方ばかりで安心して指導を受けることができます。
バイオリン製作科では2年をかけて一台のバイオリンを製作することを目的としています。内型と呼ばれるバイオリンの形状を決める上で重要なパーツから製作を始めます。
内型→ブロック→側板→ライニング→表板・裏板→ネック→指板→魂柱→駒と順にパーツを作成していきます。その一つひとつに正確な平面と寸法が求められます。
バイオリンの中で完成した状態で購入、取り付けができるパーツはあご当てのみです。
詳しい製作方法についてはまた別の記事に書こうと思います。

卒業してから思うこと

製作したバイオリン

職人として仕事をしていくうえで基礎中の基礎ですが大事なことを学んだと思います。
特にお店などに入ってからでは学びにくい木の取り扱い方、道具の仕立て方を学べたことが最大の収穫でした。
バイオリン製作に関しては一朝一夕で身につくものではないので製作方法を知るということが大事です。あとは作り続けていく根性と集中力が大事だと思っています。

職人についての考え方

職人という肩書はまだ僕には早いような気がしていますが、ほかに思いつかないので使っています。いずれ堂々と名乗れるような人物になりたいと思います。
技術的なことに関して僕の持論としては世の中に不器用な人間など存在しないと思っています。
同じように美しい楽器を作製する場合、差となって表れるのは時間です。どれだけ時間をかけて作ってもいいのであればだれでも最高級の楽器が作れると思っています。
職人に憧れを持つ方へ、自分は不器用だからこういう仕事はできないなどと思わず、挑戦した方がいいです。大事なのは木工が好きか、バイオリンが好きかどうかということです。

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