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バイオリンの駒のランクの違いとは?材料の値段が変わるとどう違うの?



こんにちわ!下川バイオリン工房です。

久しぶりの投稿ですが、駒についての小話を一つしたいと思います。

記事の内容には私個人の見解も含まれますので、他店でそういった話をされる際にはお気を付けください。

 

皆さんは弦楽器工房で駒を新しく交換する際にメーカーやランクがいくつかありますがどれにしますかと聞かれたことはありませんか?

駒の材料にはいくつかのメーカーがあります。オーベルトやデスピオ、ミロシタンなどです。今回はおそらく一番有名なオーベルトを中心に話をしたいと思います。

 

オーベルトの駒にはさらにいくつかのランクが存在します。

Deluxe(デラックス)、Luxe(ラックス)、Mirecourt(ミルクール→当店ではStandard)、Etude(エチュード)

安いものから高いものでは値段が5倍ほども違いますが、その理由はなぜでしょうか。何が違うのでしょうか。

 

目次

駒の材料は木のどの部分?

(一枚目の画像は府中家具さんのHP(木材図鑑)よりお借りしています)

駒は画像のように木目が駒に対して横向きに走るように、寝かした状態で取っていきます。
ひとつ良質な木の丸太があれば良質な駒材が何枚も取れることになります。

駒で見る木材の組織の構造

(画像はあえて暗くしています)

赤線で示したのが木目(年輪)です。
年輪は冬に成長が遅くなることで形成層が詰まって濃くなり線のように見えています。そのため年輪が多いほど硬いということになります。

青枠で示しているの丸太の中心から外側に向かって放射上に伸びる放射組織です。栄養分などを運ぶ細胞の集まりです。

駒のランクの違い ー メーカーでの分類について

駒のランクの違いをオーベルト社の方にお聞きしました。

主に
①木目がまっすぐになっているかどうか
②木目が細かく均等に並んでいるかどうか
③放射組織がきれいにみえているか

つまりより繊維のねじれが少なく、硬い材質であるかどうかということです。

材質が硬いとどうなの?音への影響は?

振動は密度が高い(硬い)ほど音の伝わりが早く、長く振動することができます。
また、繊維がまっすぐなほど振動は吸収されずにきれいに伝わります。

木琴と鉄琴でイメージすると、鉄琴の方が音が高く、響くことからもわかると思います。
木材同士でも同じことが言えます。

簡単に言えばよい材質の駒ほど振動を伝えやすいために、同じメープルでもランクを分けているということなのです。

駒のランクの違い ー 工房としての考え方

もちろん高いランクの方が良いことは間違いありません。
しかしその理由は単に材質がいいということだけではありません。Deluxeが良いからといってStandardが悪いというわけではないです。

駒の良しあしを決める際に重要なもう一つの要素として取り付けの精度があります。いわば職人の腕による部分ですが、こちらの音への影響は大きいと考えています。
駒の交換には①足合わせ ②高さ調整 ③厚み調整 ④駒くり(輪郭を整える)の工程があります。(詳しい交換方法は下記のリンクをご覧ください)

楽器によって、駒を厚くしたり、薄くしたり、輪郭を細くしたり、太くしたりと調整するのですが、Standardはある程度の強度限界があるのに対し、Deluxeの方が単純に強度があるので、より多く削ることができ、調整の幅が広いのです。(もちろんStadardでも調整は可能です)

そのため、仕上がりの見た目もきれいになりやすく、薄く細く仕上げれば音の立ち上がりを良くしたり、高音を響きやすくしたりすることが容易です。
そういった点からもDeluxeを選ぶメリットはあるということを覚えておいていただければ幸いです。

最後に

DeluxeとStandardかで迷った場合は職人に相談してみるのも一つの手です。どの程度のレベルの楽器なのか、楽器の使用頻度や演奏のレベル、今後調整などをこだわりたいのか、ご予算の都合はどうかなどを加味して一緒に考えることができます。

当工房から言いたいのは、Standardから値段を少し上げたLuxeを選ぶのであればDeluxeまで上げた方が良いです。3000円程度の差なので、こだわるならとことんやりましょう!😊
また最安のEtudeは劇的に安いわけではない割に質が極端に悪い場合があるのでおすすめできません。

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