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バイオリンのE線とはどんな弦? E線レビュー有(メジャー弦・マイナー弦)



みなさんこんにちわ!下川バイオリン工房です。

今回はバイオリンのE線にフォーカスして日本ではあまり使用している人のいない製品を取り寄せて使用してみました。

なお検証にあたっては東京都世田谷区の『国立音楽院』のヴァイオリン演奏科・製作科の学生協力の元おこなっております。

 

目次

バイオリンのE線(1番線)とは

E線とはどのような弦?

バイオリンの細い弦から順番に1番線、2番線、3番線、4番線といいます。チューニングではE(ミ)、A(ラ)、D(レ)、G(ソ)の音程となります。
ドイツ語よみでは”エーセン(E線)” 英語では”イー”となりますがドイツ語よみが一般的です。

金属のスチール単線の物が多いですがメッキ線、巻き線などもあります。太さは0.25mm~0.3mmほどであり、テンションは7~9kgほどです。

E線の交換について

バイオリン弦は現在ナイロン弦が主流であり、芯に合成繊維(ナイロン)を使用し金属を巻いた構造のA/D/G線では性質上、張り替えてから1週間程度は弦が伸びていくためチューニングが狂いやすいです。
それに対してE線は金属の単線であるために安定するまでが早く本番の前日などに交換することも可能です。また安価であることから交換が容易でいろいろな商品を試せるのもうれしいポイントです。
また同様に金属単線であることからG/D/Aとは独立した弦として他のメーカー弦同士での組み合わせでも違和感なく使用できる場合が多いです。(例 ドミナントG/D/A線 + ゴールドブラカットE線)

バイオリンの弦交換は慣れればそれほど難しい作業ではありません。ぜひこだわりの一本を見つけてみて下さい🙋

E線のメジャー商品とは

画像はOPTIMA社(旧Lenzner社)が製造している”ゴールドブラカット(Goldbrokat)”という商品です。プロ・アマチュア問わずであればおそらく日本でもっとも使用されている弦で定価500円(税別、2024年10月時点)と安価でありながらきらびやかで伸びのある音で人気の弦です。

ゴールドブラカットには太さ(ゲージ)が0.25/0.26/0.27の3種類があり、スチール単線のレギュラー/錆に強い新素材スチール単線のプレミアム/真鍮コーティング/24Kゴールドコーティングの4種類があります。

E線の素材・太さの違いによる音の違いについて

弦の音の高さ(振動数)決める要因について

音が高くなるということは弦がより細かく振動するということです。(弦の振動数が大きくなる)

全く同じ素材と太さの弦が同じ長さで用意されている場合、張りが強いほど音は高くなります。
同じ長さ・同じ張りの弦である場合は太さが細いほど(質量が小さいほど)音が高くなります。
そのことからバイオリンでG線からE線になるにつれてゲージが細くなっていくのには張力を揃えたいという意図があるからだと考えられます。

また同じE線でも細いほど音は高くなり、素材が軽いほど音は高くなります。(ゲージ0.27よりも0.25の方が スチールよりもアルミの方がということです)
しかしチューニングは当然Eの音に合わせます。つまり質量が小さいほど張りが弱くても同じ音程が出せるということになります。
張りの弱い弦は振動しやすく柔らかい音色になります。そのため現代ではスチール弦よりもナイロン弦が主流になったと考えられます。

素材の違い

現在E線には数多くの種類があります。
スチール、クロムスチール、カーボンスチール、ステンレススチール
また金メッキ、錫メッキ、真鍮メッキ
さらにはアルミ巻きなどです。

先に説明しました質量と音の高さの関係から金属合金の線密度(質量)の違いによって同じ音程にした時の音の響きに差ができます。
クロムやステンレスは質量にも影響しますがどちらかというと錆び防止目的で使用されています。

またゴールドコーティングや真鍮コーティング弦は質量だけを考えればスチールよりも重い為、音はキンキン金属的になるとも考えられますが実際は透き通った音色になるため柔らかく聞こえます。メッキ加工によってスチールの剛性や振動に影響が出ていると考えられますが、詳しいことは検証していない為わかりません。
また金メッキに関してもコーティング層は非常に薄い為、錆防止や高級感が主な目的であると思われます。

太さの違い

先に説明しました質量と音の高さの関係から、線が細くなるほど張力が弱くなるためにやわらかい音色になります。
テンションがきついほど裏返りやすく、弓との摩擦や弦振動の関係から倍音が乱れやすいために初心者の方には細いものをお勧めしたいと考えています。

弦のレビュー

***【メジャー弦】***

※現在はレビューがありません。
後日追記するか別の記事を作成いたします。

***【マイナー弦】***

ウエストミンスター ”Westminster” made in USA

日本ではあまり見ない弦ではあるが取り扱い自体はあるので国内で入手可能。海外のプロバイオリニストでは使用する方も数名存在している

【0.275】
テンションが高く、やや音が出しにくいことがあるが金属感は以外にもあまりない
音は力強くとても明瞭で芯のある音色が出せる(発音がしっかりしている)
すべてのポジションのバランスが良い

【0.26】
0.275に比べると音がぐっとやわらかくなり、伸びが良くなっている
ひっかかりのきつさがなくなり耳障りが非常に良いが、音はやや弱めでややぼやけたような印象も受ける


Eプログラム48 ”E-Program 48” Thomastik-Infeld(トマスティック・インフェルト)社 オーストリア(ウィーン”vienna”)

音がまろやかで裏返りにくい(金メッキ線は割と裏返りやすい傾向にある)
音色にクセがあり、ゴールドブロカットプレミアムゴールドに近い

オールド・モダン楽器に貼った場合ややハイポジションが曇った感じになる。

新作楽器に貼った場合は強めの楽器音を中和してまろやかで伸びのある音にしてくれるためおすすめ

Eプログラムe01 ”E-Program e01” Thomastik-Infeld(トマスティック・インフェルト)社 オーストリア(ウィーン”vienna”)

ゴールドブロカット0.26に比べてメタリック感がやや抑えられている
発音が良い
ゴールドブラカットのプレミアムスチールに近い

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