バイオリン購入後のメンテナンスについて

この記事では楽器(バイオリン)購入後の日々のメンテナンスについて、簡単なチェックからより細かく状態確認する方法まで解説いたします。
新品バイオリンであっても中古バイオリンであってもチェックするべきところやその必要性は変わりません。バイオリンの毎日の変化を見つめながら大切にしていきましょう😌
目次
- ○ 日々の楽器チェック!
- ○ 簡単な楽器状態のチェックについて
- ・駒が傾いている場合の直し方について
- ○ パーツごとの細かなチェックについて
- ・ペグ
- ・ナット
- ・指板
- ・駒
- ・エンドピン
- ○ 楽器本体の故障チェックについて
日々の楽器チェック!

まず初めに楽器を毎日隅々までチェックして観察する必要はありません。バイオリンの中には繊細な部分もありますが、やはり演奏に使用される道具ですのでしっかりと耐久性を持たせるように製作されております。
保管場所に注意しておくだけである程度のトラブルは回避できてしまいます。(高温多湿や極端に乾燥する場所は避ける。車内や倉庫・物置など)
毎日チェックできる項目は『音』です。
バイオリンの不調は音となって現れる場合がほとんどです。➀音質➁発音➂雑音 の三つの項目をチェックするだけで何かしらの変化があったことが確認できます。日々演奏する中でよく音を聴くようにしてください🙆
音が気になった場合はまずは良く楽器全体の様子をチェックしてください!わからない場合には工房に相談しましょう!
クリーニングは簡単で大丈夫なので演奏後にしていただけると楽器や駒のためには良いです。
方法としては付着した松脂を柔らかい布でふき取っていただくだけで大丈夫です。楽器全体を拭く布と松脂を取る布は別のものを使用して下さい(松脂の粒子がニス表面を研磨してしまいます)
簡単な楽器状態のチェックについて

バイオリンの中で変化の起こりやすいパーツTOPは『駒』です。ついで『魂柱』となります。※弦や弓毛はそもそも消耗品であるため外しました
張られた弦によって常時20kg強から30kg弱の力がかかっている上、弦のチューニングによって前後方向へ力がかかりことがあります。弓で弦を弾くことによって振動し、楽器本体へその振動を伝達しています。厚さ最大4.5mm程度の木のパーツが『駒』です。
駒の状態変化には『位置ズレ』『倒れ・反り・曲がり』『弦による削れ』があります。※割れや倒れは即座に調整・修理が必要となります。
『魂柱』は倒れたり・位置や角度がずれることがまれにあります。基本的には専門の人が専用の道具を使用しなければ調整できないため店舗への持込が必須となります。
『本体の傷、ハガレ、割れ』については全体をぐるっと見渡してどこかぶつけていないか。弓でこすってしまっていないか、表板や裏板はハガレていないかなどをチェックします。わかりにくい場合もありますので雑音になっていなければひとまず様子見ということもあります。
これらの項目は1カ月に一回程度見ておきましょう。最低でも3カ月~半年に一回はセルフチェックを行ってください。
駒が傾いている場合の直し方について


バイオリンを始めとする弦楽器(ビオラ・チェロ・コントラバス)では駒がネック側に傾いていくことがよく起こります。バイオリンをあたらしく始められた方が調整に来られた際に駒が傾いている。ご本人も気付いているがどうすればいいのかはわからないといったことがよくあります。
特に新しい弦は芯材(ナイロンなど)が伸びていくために頻繁にチューニングが必要となり、弦はペグ側に引っ張られ、つられて駒もそちら側にどんどん傾いていくこととなります。
➀写真一枚目のように両手で弦の圧力を軽減し、親指を使って傾きを押して直す方法があります。
➁写真二枚目のように駒全体を持って手前に引っ張る方法もあります。
不安な方は演奏講師の方か楽器店に持込みましょう。
駒位置がずれてしまったりした場合にもご相談ください🙋
パーツごとの細かなチェックについて

バイオリンのパーツごとに不調が出た場合の対処方法について説明します。
普段使用していて何か違和感がある場合などに参考としてご確認ください。
専門店でのメンテナンスは半年~1年に1回持ち込んで行います。夏や冬の気温が大きく変わるタイミングで楽器も変化することが多いです。
ペグ

<ペグの回りが悪い場合>
調整剤を塗ります。ペグソープ(滑らかにする)やペグコンポジション(ある程度摩擦がありかつ滑らかにする)を使用します。塗る際にはペグボックスの穴の中やペグ自体に塗る必要があるため弦を外さなければなりません。※必ず弦一本ずつ行います。
松脂・チョーク(摩擦を強くする)を塗る場合もあります。
<ペグが折れた場合>
内部で固まってしまいペグが動かない時があります。無理に回すと折れる場合がありますのでそのまま工房にお持ちください。もしも折れてしまった場合には交換が必要となります。
<ペグが止まらずに緩んでしまいチューニングができない場合>
ペグ交換が必要な場合が多いです。太さの関係で一度穴埋め(ブッシング)を行ってから穴をあけ直して交換する場合がございます。
ナット

<弦がほつれている場合>
ナットの溝が崩れていたり。削れて深くなっていると弦が挟まってほつれることがあります。ナットの交換もしくは高さ上げ(削り直し)が必要です。
<弦の間隔を変えたいとき>
弾きづらい為に弦の間隔を広げたり狭めたいときも上記と同様の調整・修理が必要です。
<ナット由来の雑音>
溝が深くなると弦が指板に接触することがあり、ビーンという機械的な雑音がなります。その場合も上記と同様の調整・修理が必要です。
指板

<指板表面で雑音がなるとき(特定の音程のみ)>
指板表面が弦によって削れたり、指板(木材)自体の変形によって弦を押さえて弾いたときに指板に接触してしまいビーンという機械的な雑音が鳴ります。
指板表面を削りなおし、磨きなおす必要があります。
駒

<駒が曲がってしまったとき>
駒にアイロンなどを使用して熱をかけ、曲がりを直します。また足の裏を本体に合わせて削りぴったりと合うように調整します。
<弦高が高すぎて弾きづらいとき>
駒の頭(アーチ)部分を削って低くします。弦の間隔やアーチの丸みを変えたい時なども同様の調整を行います。
※上記の調整で修正ができない場合には駒の交換となります。
エンドピン

<エンドピンが傾いている・抜けてきている>
穴が削れやつぶれ・乾燥によって広がってしまいエンドピンをとめることができなくなっている状態です。穴埋め(ブッシング)を行います。
<エンドピンが折れた場合>
あまり頻度は高くないですが、ぽっきりと折れた場合や紐をひっかける傘が割れてしまった時などは交換を行います。
楽器本体の故障チェックについて

<ハガレが発生した場合>
楽器本体の故障としてもっとも多くみられるのがこちらです。
表板および裏板が横板からはがれてしまい隙間となります。ほっておくと汗や脂、ほこりなどが入ってしまうためなるべく早く処置を行うのが好ましいです。半年から1年に一回ほど工房で点検してもらいましょう。
この場合は振動が外に逃げやすくなるため、音圧が下がる(音量が小さくなる)などの変化がおこることがあります。
ネックがはずれる場合があります。その場合は指板の角度や弦高が大きく変化する場合があるため、気づきやすいです。リセットネックという修理が必要となります。
表板などの”ハギ”と呼ばれる真ん中の接合が外れる場合があります。規模によっては表板全体を開ける必要があるため大掛かりな修理となる場合があります。
※ハガレ接着は早めに処置を行うほど費用が少なくなる傾向にあります。こまめな点検が費用面での保険となるでしょう。
<板が割れた場合>
乾燥や衝撃で板が割れることがあります。ニカワを用いて接着+補強を行います。
表板などを開けての修理が必要な場合があります。ほっておくと木材が変形してしまい矯正が必要となるため、早めに修理をおこないましょう。
