バイオリン演奏、移弦のしにくさを感じていませんか?駒のアーチが原因かも
皆さん、ご自身の楽器の駒のアーチ(弦が乗っているカーブの部分)について注目したことはありますか?
他の弦に触ってしまう、素早い移弦ができない、楽器を弓でこすってしまうといったことでお困りの方の為にこちらの記事を書かせていただきます。
もちろん演奏技術の問題もあります。高いレベルで弓を操作できるプレイヤーの方であればある程度どのようなアーチの形状であっても弾けたりします。より細かなアーチの調整を可能とするでしょう。
しかし逆に駒のアーチの形状が良くないことによって弓の操作性が悪くなり、演奏に関して変なクセがついてしまうのも問題ではあります。
駒のアーチの形状が違うと何が変わるのか。また調整することのメリットと調整方法についてお話します。
目次
駒のアーチの形が変わると何が違うの?
上の写真をご覧ください。駒を正面から見たとき、赤い点が弦、青い線が弓を表しています。
駒のアーチの曲線はそのまま弦の位置となります。弓をG線からE線まで動かした(移弦した)時の腕を動かす距離と角度が決まります。
弦同士の間隔も要素の一つではありますが、一般的な規格内におさまっているものとしてここでは省略いたします。
極端な形状でない限り、影響はごくわずかです。演奏が上達すると技術でカバーできてしまう部分でもありますので、必要以上に駒の調整を気にする必要はありません。繊細な方ですと微妙な角度の変化が演奏に影響することもあります。
新作楽器の場合、丁寧にセットアップされている場合がほとんどですので、さほど気にする必要はありません。演奏を始められたばかりの方はある程度上達されてからでも問題ありません。
具体的な問題点、調整方法についてはこのあとにつづく記事をお読みください。
弓の角度の変化について
写真は上からアーチのカーブが浅い時、深い時です。緑の矢印が弓の角度の差を表しています。
アーチが深く(高く)なるほど弓の角度の変化は大きくなります。G線からとなりのD線に移弦するときにはより大きく腕を動かす必要があります。
しかし弓ととなりの弦との間に大きなスキマがあるので、ほかの弦をさわってしまって音が出てしまう危険性は少ないといえます。
初級者の方の場合、腕をしっかりと動かす、弾きたい音だけをしっかりと出す練習という意味ではこの状態のほうが良いといえます。
速いパッセージの練習に移っていく時、とても追いつけないという場合には調整を検討してみましょう。
アーチが浅い(低く)なるほど弓の角度の変化は少ないです。弦ごとの差が少ないので、隣の弦に触ってしまいやすくなります。ボウイング技術が安定しないうちはこのような調整はオススメできません。
楽器のフチのこすれとの関係
弓の毛が楽器のコーナーやフチに当たってしまってニスが削れてしまう場合
バイオリンの幅はある程度の規格内に収まるように決められています。幅の広い楽器もありますが、弓が絶対に当たってしまうということはありません。
アーチの影響よりも演奏方法の影響が大きと言えます。
こちらでお悩みの方はまずは、演奏の指導を受けている先生や上級者の方に相談してみましょう。
練習しても改善されていかず、弓がフチに近くなりすぎている場合、駒よりももっと大きな問題が発生している可能性があります(ネックの高さや駒がずれているなど)。
楽器修理専門店で点検を行いましょう。
駒の調整が必要になる原因とは?
まずひとつめにあげられるのは新品の楽器を買った場合です。
メーカーで作られた楽器は、基本的な調整をしてから楽器店で販売されます。この時には駒を少し高めにしておくことがあります。
先ほどお話しました初級者の方には高いほうがいいという点、あとからお客様に合わせて調整するときのために余分を残しておくということが考えられます。
販売店ではお渡しする直前に最終調整をしますので、問題ないことがほとんどですが、先生から指摘があった場合や、気になる場合は点検しましょう。
もうひとつは駒の摩耗や変形などによるものです。
長く弾いていると弦の振動で駒が削れていきます。弦が木にうもれて低くなるうちにバランスがくずれてしまうのです。
駒を削りなおすか、交換によって解消しますので、なるべく早く修理店へお持ちいただくことをお勧めいたします。
駒のアーチの調整方法について
駒のアーチ(弦が乗っている部分)を削って調整します。
弦が高くなっているところを削って低くし、埋もれてしまっている場合にはそれ以外の弦を低くなるように削って調整します。
理想的な曲線として当店が設定しているものを基準にお客様のお好みやレベルに合わせてアーチを調整させていただきます。
駒の点検のみは無料。削り調整もリーズナブルな価格で設定させていただいております。
演奏上達の手助けとなるよう、調整をご検討いただければと思います。
修理価格のリンクは下に貼ってあります。
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下川バイオリン工房
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