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分数楽器について



下川バイオリン工房です。

今回の記事では”分数バイオリン”(子供用バイオリン)についてお話します。

一般的な大人用のバイオリンをフルサイズや4/4サイズというのに対して、子供用のバイオリンを分数バイオリンと呼び、子供の成長に合わせて何種類かのサイズが用意されています。

目次

分数バイオリンについて

分数バイオリンの種類

分数バイオリンはサイズの小さいものから順番に1/16、1/8、1/4、1/2、3/4、(4/4=フルサイズ)となります。
一番小さい1/16サイズは対象年齢がおおよそ3~4歳ほどとなります。つまり人間のほぼ一生涯分のサイズが用意されていることとなります。
バイオリン学習において幼少期からの練習が音感や音楽的感性を養うのに重要なためにこのようなサイズが作られてきたのだと思われます。

あまり流通していませんが1~2歳児用に1/32というサイズも存在します。これは演奏を目的としたものではなくバイオリンの形になれるためのグッズで、乳児用のスプーンなどと同じようなものとして考えられています。(きちんとしたバイオリンとしてつくられてはいます)

また小柄な方のために7/8サイズというものも存在します。とても微妙なサイズのため、小さ目なフルサイズと言われれば納得してしまう🤫

さらに日本独自の基準として1/10サイズが存在します。これは日本人がやや手足が短いことや幼少期に体格が小さい子供が多いことが理由となっています。

名前の由来

”分数バイオリン”という呼び方は海外で子供用バイオリンを1/2や3/4などと表記することから名づけられました。
この1/2という表記の由来は記録などは見つけられませんでしたが、少なくとも数値的なものを表すものではなりません。4/4バイオリンのボディサイズが355mmなのに対して、1/2は310mmが基準となっており実際に半分の大きさというわけではありません。
また容積や全長、弦長などをくらべてみてもその比率はあってはいません。🤔

英語やドイツ語ではしばしば1/2や3/4といった表現を使用します。これは数学的なものではなく、おおよその分量に対して使用される表現です。
大人用のバイオリンに対して子供用のバイオリンが作られた際に単純に小さいものとして1/2という表現を用いたのだと考えられます。
またその中間を3/4、小さいものを1/4、1/8といった具合です。

分数バイオリンの選び方

子供の身長とサイズの目安

対比表はこのようになっています。しかし子供によって手足の長さなどは違いますのであくまでも目安程度に、楽器を選ぶ際には実際に手に取って(かまえて)みることをお勧めします。

暦年齢ごとの標準身長平均値
暦年齢(標準身長平均)  2才(85.4cm) (3才93.3cm) 4才(103.5cm) 5才(106.7cm) 6才(110.1cm) 7才(113.3cm) 8才(125.3cm) 9才(130.9cm) 10才(136.4cm) 11才(142.2cm) 12才(149.1cm)
*出典:身長コム

構えた時の姿勢から見る理想的なバイオリンサイズ

手にとって楽器を選ぶ場合
まず楽器を左肩に置いて演奏時の姿勢を作ります。左手(弦のポジションを押さえる方)をバイオリン先端のスクロール(うずまき)の方に伸ばします。その際にスクロールを握ることができるくらいに手が届き、左手のひじが少し曲がるような余裕のある状態が理想です。ひじが伸びきっていたり、逆に90度くらい曲がっているものは適当なサイズとはいえません。

量産モデルの分数バイオリンはある程度規格に沿って製造されているため、寸法も参考となりますがオールドやモダン楽器などの古い楽器はサイズがまちまちであるため、必ずかまえてみる必要があります。

分数バイオリンの寸法について

画像は分数楽器の寸法表です。研究や参考程度にどうぞ。
1/8以下はまだ正確な数値が集まっていないため、これから研究していこうと思います。

分数楽器は必ずしもサイズの順番に沿って更新していかなければいけないものでもありません。
子供の身長が急激に伸びていく場合には1/8~1/2への変更、1/16~1/4への変更のように一つサイズを飛ばしていくこともあります。
また3/4サイズ、1/10サイズなどのようにほかのサイズとの差があまりないものは無視して早くからフルサイズに慣らしていくこともあります。ただあまりにサイズの合っていないものは上達の妨げにもなりますので、演奏の先生や店舗とよく相談しながら慎重に決めましょう。

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