バイオリン製作について②【内型作製とブロック組み立て編】
バイオリン製作について今回は型の作製・準備とブロックの作製・取り付けまでをお話いたします。
型には内型式と外型式がありますが、僕は内型でしか製作したことがないため、外型の解説はできません😅
ブロックは、バイオリンの外側からは見えない内部の補強パーツですがそこにもしっかりと木工技術が使われています。
目次
内型ってどんなもの?
内型とはこのようにバイオリンの形をした型です。僕は木の板で製作していますが、金属やアクリル、ブラスチックなどでも製作できます。
バイオリンの本体は複雑なフォームをしており、また中が空洞となるため、木材の変形なども考えると型がない状態でそれぞれのパーツを接着していくのは難しいと思われます。そのため型を使用してある程度かたちを矯正しながら組み上げていくのです。
この型の周りにブロックから始まる各パーツ(横板・ライニング・裏板)を取り付けていき、最後に型を外して抜き取り、表板でふたをして完成です。
テンプレートについて
テンプレートは内型と同じ形に削られた板状のパーツです。内型とセットにして使用します。
金属製の場合が多いですがプラスチックや厚紙でも作れます。
ブロックの部分をはめ込める溝がある内型に対して、テンプレートはコーナーの先を鋭く残してあります。
ブロックを内型に取り付けた後に横板を張り付けるために削る必要があるのです、その形を写し取るのにテンプレートを使用します。
左右が半分しかないのは、裏返して使うためで左右の形状を揃えるためです。
またネックのテンプレートもあります。
ブロックとは
バイオリンを横板・表裏板のみで箱状にした場合、接着面積が狭すぎてはがれやすいことが予想されます。またネックとエンドの両方から弦によって引っ張られているため強度的にもたず、つぶれてしまうでしょう。
ブロックとは写真のような木材の塊をネック、エンドピン、4つのコーナーの計6か所に設置することで楽器に強度を持たせる役割のあるパーツです。
なうべく軽くするために材料は針葉樹を使用します。表板と同じスプルースやヤナギを使用して作られます。音質への影響は少ないと思われるため、手ごろなものでは杉などで作っても問題ないと思われます。
内型に接着するまえにこのような形に成型しておきます。上下左右すべてがきれいな直角になるようにカンナで削ります。
実際はそこまで精密でなくても大丈夫ですが、小さな歪みがあとあと大きな結果となることもあります。土台作りだと思って丁寧にやりましょう😊
ブロックの寸法と木取について
ブロックはこのように取り付けます(バイオリンの形がいびつですが目をつぶってください(笑))
木材は横から見たときの上下(つまり表板、裏板が接着される面)が小口になります。
切削しやすさや強度を考えるとこのような木目の方向が一番いいと考えます。
寸法はあくまでも目安なのでご自身で調節してください。ネックブロックの厚みはネックのほぞを削るため、もう少し厚くしてもいいかもしれません。
ブロックは内型のみぞよりも出っ張りますので、接着する段階では大きな状態でつけましょう。
高さはネックブロック30.5mm、コーナー31mm、エンドブロック31.5mmにしています。
ブロックを一番右の画像のように出っ張った部分を削るときにテンプレートを使用します。
実際のブロック取り付け作業①
クランプで接着します。内型が少し浮いているのは横板の内側にライニングと呼ばれるパーツを接着するためにその分を空けています。(別の記事で解説します)
このとき精密に行いたい場合は定盤(まっ平らな板)の上で行うのも良いでしょう。しかし、先に話した通り、内型がきれいに作られていて、ブロックが精密に製材されていなければ無意味です。
実際のブロック取り付け作業②
テンプレートを内型とぴったり重ね合わせて使用します。
本来は画像の穴に金属のピンを通してずれないようにします。(この写真はイメージなので使用していません)
鉛筆や千枚通しを使用してテンプレートに沿ってブロックに線を引き、それに合わせてブロックを削ります。
ブロック接着後の作業について
写真は小さくて見ずらいですが、ブロックの成型を行いながら横板を接着していく工程です。
C字(くびれの部分)の横板はすでについています。
テンプレートに合わせて削ったブロックにぴったりとくっつくように横板を曲げ加工しています。
コーナーの先っちょは横板同士が合わさっていますので、先にC字を接着⇒横板ごと形を成型⇒上下の横板を接着という流れになります。
次の記事では横板の曲げ加工についてお話します。