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バイオリン製作について④【裏板製作編】



今回の記事ではバイオリンの裏板の製作についてお話します。

裏板の製作工程は大きく分けると①はぎ合わせ②平面出し③型抜き④アーチ製作(+パフリング)⑤裏彫りで構成されています。

楽器の雰囲気と振動域、音質を決める楽しい作業です。作業の見た目的にはネックについで2番目くらいにバイオリン作ってるなと思える作業でもあります😊

目次

裏板について

裏板とはどのようなもの?

裏板とは写真のように、楽器の本体を箱として考えたときに駒が乗っている側を表板、そして逆側を裏板と呼びます。
裏板の厚みは中心部で4.5mmほど、フチにに近いほど薄くします。一番薄い部分で2.5~2.6mmほどです。
材料によって厚みを調整する必要があるため、さらに薄い場合や6mmほどまで厚くする場合もあります。

内部の魂柱によって駒と表板の振動が裏板に伝わります。板の厚みは薄すぎても振動しすぎて音がまとまらず、厚すぎても振動を阻害してしまいます。

裏板の材料

裏板

裏板の材料はメープルです。
厚みや幅を確認しましょう。バイオリン裏板の寸法は横幅がもっとも広い部分で210mmほど、厚みはフチで4mm、中央で15mmくらいです。(製作するモデルによって変わってきます)
大きさに十分な余分があるものを最初は選びましょう。加工に手間取り寸法が足りなくなるのは怖いことです😭

杢(虎杢、バーズアイなど)の模様は好みで選んでもらって大丈夫ですが、模様が深いものほど削るのは難しくなります。
当然ですが節やヤニだまりなどが無いものを選びましょう。

裏板加工に使う道具

スクレーパー

西洋カンナ

裏板製作には様々な道具を使います。職人によって使用する道具が少し違ったり、形状なども異なりますがおおむねこのような道具を使用すると思います。
写真の上から
『豆かんな』・・・文字どおり豆のように小さなかんなです。木材の方面を薄く削るのに使います。写真ではわかりづらいかもしれませんが底が丸いものと平らなものがあり、掘りこんだり、平らにならしたり、出っ張った部分をならしてカーブをつなげたりと様々な用途に使用できる優れものです😊
『ノミ』・・・木材を大きく彫り込んでいく際に使用します。豆かんなが仕上げに近い作業だとしたら、ノミは最初の荒堀などの形作りをおこなう作業です。これも丸や平のものがあります。
『スクレーパー』・・・鉄の薄い板です。フチには返しと呼ばれる爪がついており、木材の表面をひっかくような形で薄く削り取ります。
『プレーン』・・・いわゆるカンナですが日本のものと違い台もすべて鉄でできたものです。(西洋かんなともいいます。)

裏板の加工作業について

はぎ合わせ

裏板は二枚の材料を中央で横向きにはぎ合わせたものを使用します。一枚甲と呼ばれるはぎ合わせをせずに一つの材料で裏板全体を削りだしたものも存在します。
画像のように丸太から材料を切り出し、ブックマッチと呼ばれる方法で接着します。

ブックマッチとはその名の通り、本のように開いて、背の部分を接着する方法です。接着面はカンナで精密に平出しを行い膠で擦り合わせて接着します。

型抜き

はぎ合わせた裏板の横板枠と接着される方の面の平らだしを行います。
プレーンでひたすら出っ張った部分を削り平にするのですが、慣れていないと意外に難しく時間がかかります。

プレーンの台がしっかりと平らに仕立てられていることが大事です。ちなみ写真のプレーンは”ブロックプレーン”という片手で持って使うタイプのもので両手で使用する”ベンチプレーン”という一回り大きいものがあります。台の接着面が大きいほど広い面積の平らだしは簡単です。

横板の中心線をはぎ線と合わせて固定し、形を木に写します。(横板の輪郭線)
バイオリンのフチはそこからさらに外側に2.3mmほど出っ張っています。ここでワッシャーという道具を使用します。2.3mm幅のワッシャーの内側に鉛筆を当て、転がしながらなぞるとフチの線が描けます。

その後、コーナーの部分を四角く書き、ネックが接着されるボタンの部分を書いたら完了です。

切り抜きと荒堀り

輪郭はバンドソーももしくは糸鋸盤で切り抜きましょう。手持ちの糸鋸でもカットできますが、厚みもある上にメープルはそこそこ硬いので相当ハードな作業となることが用意に想像できます😅

中心の厚み(板のネック側から195mmの位置)を最終的に16mmにするのであれば、プラス0.5mmくらいまでカンナで先に削ってきましょう。完成の全体像を想像しやすくなります。
内丸ノミの幅が大きいものでざっくりとアーチ面を削っていきます。完成の厚みをしっかりとイメージしながら削り取っていきます。【写真1・2枚目】

豆かんなを使ってざっくりと全体をならします。その後、フチの厚みを仕上げまで薄くします。【写真の3・4枚目】
フチの少し内側、パフリングが入る部分は一周分へこんでいます。3.5mmほどになりますので、ギリギリまでノミなどで削っておくとフチが仕上げやすくなります。【写真5枚目】

パフリング

パフリングカッターという二本の刃のついた専用道具があります。金属の出っ張り棒をフチに当てながら刃をフチに当ててひくと二重線の切れ込みが簡単に引けるという代物です。
ナイフで切れ込みを深くしていきます。パフリングの深さは大体1.5mmほどです。コーナーの先っちょはパフリングカッターが使えないためナイフの腕の見せ所です。
ピッカーという道具で溝の中の木をはがすような感覚で掘っていきます。

パフリングは黒い木材で白い木材を挟んだ三層構造でこの状態で売っています。先をコーナーに合わせてとがらせて合わせます。曲げ作業には側板製作にも使用したベンディングアイロンを使用します。

写真3枚目は埋め込んだ状態です。
その後、パフリングを削って溝を仕上げ、アーチ表面の仕上げ、裏彫りを行って完成です。
オリジナルラベルを貼って、横板枠に貼り付けましょう!😊

最後に

説明に専門的な部分が多く読みづらくなってしまいました🙇
写真だけでも何となく雰囲気はわかるようにしたつもりです(笑)

もしここどうなっているのと思う部分がありましたらお気軽にお問合せいただければと思います。僕は特に技術を隠すつもりはないので、製作に関することならば基本的にお答えいたします。

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